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 先日のこと、仕事をしていると、立ち話しが聞こえてきました。
部長と、多忙を極めるひとりの営業の社員の帰り際の立ち話しです。
他の人の会話を、こっそり聴くのはあまり良いことではありませんが、そこのところはご容赦ください。



会話の内容は仕事の効率についてでした。
部長はまずその社員に声を掛け、最近の様子を尋ねていました。
そして話しは次のように進みます。
1、仕事の案件のファイリングについて、どうしているのかということを尋ねました。
2、その社員のファイリングの問題点について取り上げました。
3、どのようなファイリングが良いのか提案しました。
4、そして、そのファイリングの方法が良い理由を実際の"例"を挙げて説明しました。
5、次に、その社員の仕事の具体的に当てはめる方法を提案しました。

話しを聴きながら、その内容にもなるほどと思いましたが、特に話しの進め方がすばらしいと思いました。

まず、助言を現実に即したものにするために、仕事の実際を丁寧に聞きました。
そして問題点を明確にして、改善する方法を明確に説明しました。
そして、現実的な"例"を挙げたので、その社員の記憶に留まる助けになったに違いありません。
最後に、具体的にその社員の特有の状況、仕事内容に当てはめることのできる提案をしたので、その助言はすぐに実行できるものになりました。
つまり
1、正確な情報、2、説明、3、例証、4、適用
助言はこのように与えられると、とても助けになります。



この会話の最中で、私の記憶に特に残ったフレーズがあります。
それは、「自分も前は同じような仕事の管理をしていたので時間がいくらあっても足りなかった。 それで、このように改善するようにした。」という言葉です。
助言を与えるとき、自分をその人の位置に置き、その人の尊厳を重んじることによって、相手はその助言を感謝し、それを当てはめようとします。 
人は、心が動かされるとき、自分にはできないと思うことにも挑戦します。



この会話は、たった5分ほどでした。
それでもその価値は、何年にも及ぶかもしれません。
MT